目からウロコのアイデアをdigest
特集
50代からの、
大人世代のリノベーション
50代・60代はリノベーション適齢期
人生の円熟期を豊かに、快適に暮らすために
50代・60代は人生のターニングポイントと言われます。働き盛りの30~40代を過ぎて、気がつけば子供も独立して巣立ってゆくこの時期。それはまた子育てと仕事を最優先にしてきたそれまでのライフスタイルを見直し、改めて自分のための、自分らしい生き方、夫婦二人で過ごすゆとりある暮らしを始める絶好の機会でもあります。
もちろんライフスタイルが変われば、それに見合った住まいのカタチというものがあるはず。というわけで、50代・60代という大人世代はリノベーション適齢期ということができます。
大人世代にふさわしい暮らし
目指すのは「自分本位」の間取り。
毎日の暮らしが
楽しいと感じられることが大切
大人世代のリノベーションを考える上で大切なキーワードになるのが「楽しさ」です。これまで仕事や子育てに追われてきた世代が今度こそ自分のための時間を過ごそうという機会なのですから、ここは胸を張ってわがままに自分たちだけの「楽しさ」を最優先にプランを検討してゆくべきです。
「暮らしの楽しさ」は何も特別なことではありません。「好きな音楽を聴くならこんな空間で聴きたい」とか、料理が趣味で「思い切りこだわってキッチンを造作したい」とか…。
時間や暮らしを楽しむことを前提に、それに必要な間取りやインテリアを検討します。あくまでも基本は「自分本位」。自分の好きな場所、お気に入りのスペースを持つことは、気持ちのオン/オフ切り替えを可能にし、メリハリのある暮らしをもたらしてくれます。またそれによって、料理をする時間、昼寝の時間、読書の時間、おしゃべりをする時間などなど、日々の暮らしがいきいきと楽しいものに変わっていきます。
よくあるマンション間取りですが...
家族がたくさんいる時には部屋数も必要だが、二人暮らしには中途半端。ここは広々リビングにして自分の好みのインテリアに作りかえるチャンスだ。
リビングにベッド?
間仕切りや目隠しを設けず、リビングにいきなりベッドとワークデスクを設置してみる。一人で籠もる書斎・個室より、こちらの方がくつろぎ感もあり便利かも。
からだにやさしいという性能
自然素材が癒す。
やさしい自然の内装に包まれて
住まいの質感は言うまでもなく「居心地」を大きく左右します。特に人と暮らしを丸ごと包み込む内装材は、視覚や触覚、嗅覚など「五感」を通じて人の心と身体に影響を与えることになります。例えば、マンションリノベーションで一般的なビニールクロスの壁や合板フローリングですが、これらはやや無機質過ぎて正直ちょっと味気ないというのが大人世代の本音でしょう。
お薦めしたいのは無垢床のフローリングや、漆喰・珪藻土の塗り壁などの自然素材による内装仕上げ。
見た目や肌触りなど、風合いが豊かに感じられ、歳月を経ても飽きることなくさらに味わいを増していきます。また無垢床や土の壁は湿度調整機能や防臭効果なども期待でき、シックハウス症候群やアレルギーな悩む方にもおススメです。自然のやさしさを肌で感じる住まいはまさに大人世代にふさわしいものです。
エアコンに頼らず
「冬の素足」の心地よさ。
冬でも素足。
それは自然体で生活する心地よさ
例えば冬季、暖房で暖かいはずの部屋にいながら足元が冷えたり、夏はエアコンが効き過ぎて気がつかないうちに身体を冷やしてしまったり。そんな経験はありませんか。実はこれらはいずれもマンション建築時の断熱が不十分なことに原因があります(古いマンションになるほど、断熱の十分でない物件が多くなります)。
からだにやさしいリノベーションを目指すなら、断熱は不可欠と言っても良いでしょう。
断熱施工が施された住まいは外気の影響をうけにくくなり、夏冬問わずエアコンをつける時間が圧倒的に少なくなります。断熱された室内の気温は夏なら27℃前後、冬でも23℃前後。エアコンによる風当たりや埃の舞い上がりなどもなく実に快適です。もちろん光熱費の節約にも効果大。また住まいのどこにいても暑さ寒さがないことから、キッチンやランドリースペースでの家事などさまざまな生活シーンが快適になりますね。
断熱が不十分な部屋では結露・カビが発生しやすい。高性能の断熱材と的確な断熱施工を施すことで結露・カビの発生を防ぐ。
将来を見据えた空間づくり
目が届く、安心。
コンパクトに暮らすことで
得られる安心感、くつろぎ感
老後を見据えた住まいを考える上で大切なのは「コンパクトさ」「目が届く」「バリアフリー」という3点でしょう。特に夫婦二人での暮らしにおいては「住まいのコンパクト化」が大切になります。例えばリビングにいながら、生活の機能がすぐに手がとどく距離にあれば、生活動作を少なくでき身体への負担を減らすことができます。またベッドルームとトイレ・バスルーム、洗面所といった水まわりの距離を短くするような動線計画も検討したいものです。これはダウンサイジングリノベーション(減築)という考え方で、部屋数を減らして生活の機能を極力リビング・ダイニングに集約するなどのプランが代表的なものです。
また住まいがコンパクトになると、そこには夫婦同士・家族同士お互いに目が届くというメリットが生まれます。家事をしながら、本を読みながら、いつも互いの行動を感じ取り、もしもの体調変化にもすぐに気が付ける環境が理想的です。ベッドで過ごす時間が長くなる場合などはリビングの一角にベッドスペースを設けるのもいいでしょう。寝ながらでも、リビングのくつろいだ雰囲気を感得できて安心につながります(個室のベッドルームは目が届きにくいだけでなく、孤立感や不安感につながりやすくなります)。
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「読むリノベーション」とは?
パラパラとページをめくって、雑誌のように気になるところだけ拾い読み。“目からウロコ”のヒントとアイデアを肩のこらない誌面にしました。「住まいのカタチをちょっぴり変えることで、こんな素敵な暮らしができるんだ」と、そんな小さな発見があれば何よりです。