設備だけでなく、住み心地を改修するという発想

マンションの住み心地に大きく関わる、室内温度・湿度のコントロール。
外気温の変動に影響されすぎず、室内の温熱環境や空気質を快適に保つため必要とされるのが断熱性能です。
建築環境の熱や空気移動を研究する尾崎明仁先生に、その考え方や効果を伺いました。

第2回 断熱のメリット 温熱環境の改善で、暮らし方が広がる

尾崎 明仁

AKIHITO OZAKI
九州大学大学院人間環境学研究院 都市・建築学部門 教授

建築で生じる自然的あるいは人為的な熱・物質・空気の移動現象を理論的に解析し、複合的な建築環境の形成メカニズムを明らかにしています。また、それらの建築物理解析を基に、快適性・健康性・省エネルギー性・耐久性に優れた「住環境デザイン」、および先進的な設備システムや自然エネルギーを利用した「高機能デザイン」について研究しています。

[ 経 歴 ]

1990年3月 九州大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了
1990年4月 福岡大学工学部助手
1996年4月 福岡大学工学部講師
1998年4月 Natural Resources Canada(カナダ天然資源省)
2001年4月 北九州市立大学国際環境工学部助教授
2006年4月 京都府立大学人間環境学部教授
2008年4月 京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授
2014年3月 九州大学大学院人間環境学研究院教授
2018年4月 九州大学大学院人間環境学府長,人間環境学研究院長

[ 受賞歴 ]

1994年 日本建築学会奨励賞(論文)受賞
2000年 Energy Sector Merit Award of Natural Resources Canada 受賞
2001年 Departmental Award of Natural Resources Canada 受賞
2001年 経済産業省「大学発ベンチャービジネスプランコンテスト」 優秀賞受賞
2009年 日本建築学会賞(論文)受賞
2009年 京都府知事表彰受賞

※2018年10月現在

使える空間が広がり居住スペースが増える

少し意外かもしれませんが、まるごと断熱改修をした施主様の感想で一番多いのが、「使える生活空間が広くなって嬉しい」という声。その理由は、居間を暖房するだけで一番離れた部屋(暖房はなし)の温度が改修前と比べて4~5℃高くなります。つまり、今までは寒くて使いづらく、物置部屋化していた部屋も使えるようになり、実質的な居住スペースが増えたということですね。

コンパクトなマンションで、広さを感じることは大きな魅力。空間全体を快適な温度と湿度に均一にすることは、空間活用の幅を広げることでもあるのです。

断熱性能があれば自然エネルギーを活用しやすい

震災後、あらためて省エネが課題となる今、冬は太陽光を室内に入れて畜熱したり、夏は気温が下がる時間に外気を取り込むなど、自然エネルギーを使ったパッシブ暖房・冷房が見直されています。注意したいのは、その場合も断熱性能は必要ということ。断熱をしていないと取り入れた暖気・冷気はすぐに逃げてしまい、ほとんど効果を果たせません。逆にしっかり断熱をしていれば自然エネルギーも活用しやすく、全体の空調をエアコン1台でも賄えるでしょう。個室ごとにエアコンを使わずにすみ、もちろん省エネにも貢献します。

住まいの基本性能に断熱があれば、室内の空気環境を自分なりに工夫して賢くコントロールでき、季節ごとの課題にも対応しやすくなりますよ。

シミュレーション結果 全体改修なら、カビ発生のリスクをおさえられる!

改修前:リビングと東面と北西の部屋の壁にカビ発生リビングなどカビ発生部分を一部改修まるごと断熱改修 リフィルド工法

<計算条件>
●間取り構成/最上階角部屋(外壁4面)、4LDK(99㎡)
●住まい方/4人家族(夫婦2、子ども2)、換気口確保不可、暖房設備はLDKガスストーブ
●所在地/奈良市(断熱地域区分Ⅳ地域)
●改修前/内壁:ユリアフォーム+GLボンド、天井:硬質ウレタンフォーム20㎜、窓:アルミサッシ・単板ガラス
●改修後/内壁:高性能断熱材45㎜気密処理、天井:高性能断熱材内張50㎜、窓:単板ガラス外窓+単板ガラス内窓

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